2009年04月09日

臨場



 


 横山秀夫 作品



 臨場とは・・・警察組織での専門用語(隠語?)で、「事件現場に臨み、初動捜査にあたること」です。
この作品の主人公は、捜査一課調査官・倉石(くらいし)。

 写真で見える帯のキャッチコピーを見てもわかる通り「異名は 終身検死官 」事件現場で死者の無言の叫びを聞き取る男です。と、言っても霊感があって恨みつらみを聞き取ってしまうというオカルティックな話ではなくて、経験からもとづいて、じっくり観察した現場や遺体の状況から、何があったかを的確に読み取るのです。

 一旦は自殺として判断された件も「殺人」として立件したり、事件性ありという事件も「事故死」「自殺」と断定したり。


 横山氏の警察小説の中でも一番好きな男が、この倉石だったりします。病的で、オヤジで、女好きなんですが、いい!!(笑





 収録作品は「赤い名刺」「眼前の密室」「鉢植えの女」「餞」「声」「真夜中の調書」「黒星」「十七年蝉」の8編。



 「餞」(はなむけ)が、他の7編よりもしっとりしていて一番静かな割に、心を抉ってくるような感覚を覚えた作品です。他ももちろん良いんですよ、「十七年蝉」もおすすめなのです。あ~、倉石、好きだーーーーーー!!!  


Posted by 魚月なつき at 07:56Comments(0)国内小説

2009年04月09日

陰の季節



 


 横山秀夫 作品



 警察小説を書かせたら天下一品(だと、思う)横山氏の短編集です。この人の作品って、警察小説の中でも第一線に立ってる人を主人公に据えるのではなくて、ちょっと奥に入って裏方をしてる人を取り上げてるのですが、そういうところも海外小説ばかり読んでて「○○捜査官」だの「○○保安官」だのという花形を主人公にしてきた私にはとっても新鮮。



 人事担当の二渡(ふたわたり)を主人公に据えて展開するこちらの短編は、第5回 松本清張賞受賞作を含む、「D県警シリーズ」の第一弾。


 収録作品は「陰の季節」「地の声」「黒い線」「鞄」の4編。



 ちなみに、「横山秀夫って誰だっけ?」という方、最近ではこの方の作品で映画化されたのが「クライマーズ ハイ」です。それより少し前ならば「半落ち」かな。著者の写真を見た事もありますが、そう、すこ~し生え際が後退した感のある写真・・いいの、それでも、こんだけ作品が面白ければ。  


Posted by 魚月なつき at 07:46Comments(0)国内小説